発表題目:
認知言語学からみた映画英語教育の可能性
講演者(所属)

山梨正明
(京都大学大学院、教授)
http://www.hi.h.kyoto-u.ac.jp/modules/professor/index.php?content_id=1
講演者プロフィール
1949年静岡県生まれ。
1971年カリフォルニア大学にてB.A.(言語学)
1972年ミシガン大学にてN.A.(言語学)
1975年ミシガン大学にてPh.D.(言語学)
専門分野は認知言語学・記号論・語用論
現在、日本認知言語学会会長、日本語用論学会会長、日本英文学会編集顧問、日本英語学会
理事、大阪大学言語文化部講師、京都大学総合人間学部助教授、同教授を経て現在、京都大
学大学院人間・環境学研究科教授。
講演者著書
『発話行為』(大修館書店、1986)
『比喩と理解』(東京大学出版会、1988)
『推論と照応』(くろしお出版、1992)
『認知文化論』(ひつじ書房、1995)
『認知言語学原理』(くろしお出版、2000)
『ことばの認知空間』(開拓社、2004)
『認知構文論ー文法のゲシュタルト性』(大修館書店、2009) 他、多数。
講演概要
認知言語学のアプローチでは、言語能力は、生物の延長としての人間の身体性を反映する一般的な認知能力によって動機づけられ、認知能力からの発現の一形態として位置づけられる。 換言するならば、認知言語学のアプローチは、いわゆる言語能力にかかわる知識は、五感、運動感覚、イメージ形成、視点の投影、カテゴリー化、参照点能力、等にかかわる人間の一般的 な認知能力から独立した自律的な言語知識としては規定できないという視点に立っている。この視点は、身体性にかかわる前ー表象的、前ー記号的な生きた経験の場から、言語知識の発現と 文節化のプロセスを根源的に問い直していく立場を意味する。この新しい言語学のアプローチは、母国語の言語能力の問題だけでなく、外国語の習得に関わる言語能力と言語運用の問題の解 明にも新たな知見を提供する。本講演では、特にこの後者の問題への認知言語学の適用の可能性を考察することにより、映画英語教育の新たな探求の方向を探っていく。