『イントゥ・ザ・ワイルド』
ショーン・ペン監督
2008年カンヌ国際映画祭コンペティション部門審査委員長
脚本・監督・プロデューサー/ショーン・ペン
出演/エミール・ハーシュ、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ウィリアム・ハート、ハル・ホルブルック
原作/「荒野へ」ジョン・クラカワー(集英社刊) オリジナル・サウンドトラック/BMGジャパン
2007/アメリカ/35mm/148分/シネマスコープ/ドルビーSRD/カラー
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大自然を舞台に、
神を観客に演じた壮大なドラマ
1992年1月、クリスは一見無鉄砲、無謀に見えて実は用意周到な旅立の時を迎えた。
極限のアラスカへ、最低限の必需品だけを携えて出発する。彼はアラスカの荒野の深奥で、逃避とか厭世とは無縁の、極めてポジティブでアクティブな自然との対峙の日々を送ることになる。

アラスカの自然は容赦ない
ライフルの扱い方も、また撃ち殺した獲物のさばき方も知らなければ命取りだ。ストイックなまでに肉体を鍛え、また精神力を培い、サバイバルのための方便を身に付けて臨んだクリスにはすべてが想定範囲内であるかのように、大過なく時間が進んでいった。
そして5月。持ち込んでいた食糧の米も残り少なくなった頃、そろそろ帰路を考える時が来ていた。しかし立ちはだかっていたのは、予想外の自然の罠だった。
The core of man's spirit comes from new experiences.

1990年夏。アトランタのエモリー大学を卒業した主人公クリスは約束されたエリートコースに背を向けて自由の旅に出た。身辺整理し、貯金全額を慈善団体に寄付し、物質文明の象徴とも言える車を捨て、家族にも何も告げずに、アレクサンダー・スーパートランプ(tramp=さすらう)と名乗って、広大なアメリカを北へ南へ、さすらいの旅を続けた。
行く先々でさまざまな邂逅があった。流浪の民やアウトローすれすれの生き様を曝す、エリートとは無縁の、クリスの育った環境とは違う階層の人々。しかし皆一様に優しい眼差しでクリスを迎え入れた。二度と巡り合うことのない行きずりの出会いであっても、等身大で無欲に生きている者同士なら、偽りのない心の交流ができるのかもしれない。

北カリフォルニア、パシフィック・クレスト・トレイルの大自然をゆくクリスが出会ったのはピッピーのカップルであった。海辺でキャンプした3人は仲むつまじいひと時をすごすが、2~3日後、砂浜に「ありがとう!!」と記してクリスは去る。
若者にありがちな放浪癖と違うのは、クリスはすべてに完ぺき主義で、徹底して妥協がなく「あそび」がなかった。息が詰まりそうな閉塞感さえ漂っていた。結果的に一期一会になってしまった人々との出会いも、初めからそうなることがわかっていたように、短くも濃密な時間を過ごしている。

1991年、アウトサイダーたちが集まるスラブ・シティのコミュニティで、レイニとジャンに再会する。そこで出会った16歳の少女トレシーはクリスに惹かれていったが、クリスはトレシーに、まるで妹カリーナにいうようにこういって、アラスカへ向かう。
When you want something in life,
you just gotta reach out and grab it.
1992年1月。
クリスはソルトン・シティでロン・フランツという老人にめぐりあう。ロンは仕事もせず野宿をしながら旅するクリスを不思議がるが、親しみもことさら感じた。ロンは身の上話を打ち明け、皮細工を教え、クリスはロンに山登りのハイキングを教える。心を分かち合えるようになり、「君を養子にしたい」とまで言い出すのだが、クリスのアラスカ行きを止めることはできなかった。


車で待つロンだったが、ジッとしていないでなんでもやって見なくちゃ…と、クリスに励まされて、岩へ登り着く。2人の眼下にソルトン・シティが広がる。
CHRIS:
- I’ll miss you, too, Ron. But you’re wrong if you think…
- that the joy of life comes principally from human relationships.
- God’s placed it all around us. It’s in everything. Anything we can experience.
- People just need to change the way they look at those things.
RON:
- I’m gonna take stock of that.
幸せは分かち合ってはじめて実感できる。
Happiness is only real when shared.

1992年1月、クリスは一見無鉄砲、無謀に見えて実は用意周到な旅立の時を迎えた。極限のアラスカへ、最低限の必需品だけを携えて出発する。

